明治大学大学院農学研究科環境バイオテクノロジー研究室の吉田智尋(博士前期課程1年)、村上雅(博士前期課程1年)、小山内崇(准教授)らの研究グループは、高付加価値物質であるフィコシアニン(PC)の高効率な抽出方法と、その安定性の変化について調査しました。
現在、スピルリナ由来のPCが青色色素として商業的に使用されています。しかし、スピルリナ由来のPCは、耐熱性が低いため用途が限られています。また、PCの抽出には多くの投入エネルギーが必要であるため、低コストかつ高効率な抽出法の開発が求められていました。
真核微細藻類であるシアニディオシゾンが持つフィコシアニン(CmPC)は高い耐熱性を有しています。本研究では、塩溶液にシアニディオシゾンの細胞を懸濁することで、容易にCmPCを抽出できることが明らかになりました。また、低濃度の塩溶液では、CmPCに特異的な耐熱性が維持されました。塩溶液によるCmPCの抽出方法は、低コストであり、安定性も高いため、CmPCの生産に適切な手法の一つであると考えられます。
(上図)A. CmPCの抽出と保存に最適なプロセスの概略図。抽出の簡便さ等も考慮した上での最適なプロセスとなっている。 B.各手法での抽出量と純度を示した図。