微細藻類ユーグレナ(以下、「ユーグレナ」)は、和名ミドリムシとしても知られる藻類です。光合成を行うことで、光と二酸化酸素を利用でき、また、食品としても用いられる生物であることから、環境バイオテクノロジーへの応用が期待されている生物です。
明治大学農学部農芸化学科環境バイオテクノロジー研究室の小山内崇(准教授)、吉岡和政(元博士前期課程2年)、株式会社ユーグレナ・理化学研究所 鈴木健吾の研究グループは、ユーグレナを発酵させることで、有機酸やアミノ酸などの有用産物を生産させる技術の開発をしています。今回、研究グループは、発酵時のpHやバッファー(緩衝液)を変えることで、生産される物質の量と種類が変化することを発見しました。
● ユーグレナは、酸素のない発酵条件に置かれると、コハク酸などの有機酸や、グルタミン酸・グルタミンなどのアミノ酸を細胞外に放出します。これらの物質は、食品添加物、化学品原料、バイオプラスチックなど様々な用途に利用することができます。
● 発酵条件におけるpHやバッファー(緩衝液)の種類を検討した結果、ユーグレナの発酵が、pHやバッファーに依存することがわかりました。また、発酵時には、pHやバッファーの種類によってユーグレナの形態が大きく変化することがわかりました。
● 発酵時の細胞密度も物質生産に影響を与え、これらのことから、発酵時のpH、バッファー、細胞密度を最適化することで、ユーグレナの発酵を制御できる可能性が示唆されました。