国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の創発的研究支援事業に、金子賢太朗専任講師と戸田安香特任講師、2名の研究課題が採択されました。
JST創発的研究事業は、特定の課題や短期目標を設定せず、多様性と融合によって破壊的イノベーションにつながるシーズの創出を目指す「創発的研究」を推進するため、既存の枠組み捕らわれない自由で挑戦的・融合的な多様な研究を、研究者が研究に専念できる環境を確保しつつ長期的に支援するものです。
【採択課題について】
金子賢太朗専任講師
「脂質構造マップによる母子間相互作用の理解と肥満研究の展開」
高脂肪である母乳はなぜ乳児の肥満を誘導しないのでしょうか。金子専任講師は母乳に含まれる特殊脂質構造が食欲中枢の視床下部において摂食抑制ホルモン作用を増強し抗肥満効果を示す可能性を見出しました。本課題では視床下部機能や内分泌機能、高次脳機能と母乳特異的な脂質構造の関わりを紐解くことで母乳が高脂肪である生理的意義の解明を目指すとともに、抗肥満機序の解明により脂質のイメージを覆す新しい肥満と老化の研究を展開することを目的としています。
戸田安香特任講師
「脊椎動物における旨味・甘味の起源の解明」
味覚は食物を摂取するか否かを決定する上で重要な化学感覚です。提案者はこれまでに、旨味・甘味センサーであるT1R受容体の機能を解析するための培養細胞アッセイ系を構築しました。さらに、鳥類や霊長類において、T1R受容体の機能が食性と深く結びついていることを明らかにしました。本課題では、解析対象を脊椎動物全般へと拡大し、嗜好味(旨味・甘味)とは何かという、おいしさの基本原理の理解を目指します。
JST創発的研究事業ページリンク