生物機能化学研究室の瀬戸義哉専任講師の共同研究成果がBioorganic and Medicinal Chemistry Letters誌に掲載されました

ストリゴラクトン(SL)は枝分かれを制御する植物ホルモンです。SLの受容体としては加水分解酵素に属するDWARF14D14)と呼ばれるタンパク質が同定されていました。本タンパク質の熱変性温度はSLの存在下で低下することが明らかとなっており、熱変性温度の低下とD14による信号伝達能には一定の相関があることが分かっていました。そこで、新たなSL様化合物を見出すことを目的に、D14熱変性温度の低下を指標に、10,000化合物からなるケミカルライブラリーのスクリーニングを行いました。その結果、D14と特異的に相互作用し、植物の枝分かれを制御可能な新たな合成分子を見出すことに成功しました。これまで見つかっていたSLアゴニストの多くは、天然SLも有するメチルブテノライド環を持っていましたが、新たに見つかったアゴニストは、そのような部分構造も有していませんでした。また、D14は加水分解酵素として、天然のSLを加水分解することが出来ますが、今回見つかったアゴニストはD14による加水分解も受けないタイプの化合物であることが分かりました。今回見つかった新規アゴニストは、植物成長調節剤としてだけでなく、SL研究における分子ツールとしても有用であると考えられます。

本研究は、東北大学生命科学研究科の山口信次郎客員教授(現京都大学化学研究所・教授)、東京農業大学生命科学部の伊藤晋作助教のグループとの共同研究として実施されました。

 

論文はこちら

生物機能化学研究室ホームページリンク

News List