【論文掲載】植物制御化学研究室の研究成果がFrontiers in Plant Science誌に掲載されました

根寄生雑草はアフリカをはじめとする地域で甚大な農業被害をもたらしています。根寄生雑草は、寄生する相手(宿主)の根から分泌されるストリゴラクトン分子を認識して発芽するという特徴を有しており、この性質を逆手にとった自殺発芽誘導法が防除法の一つとして考案されています。このたび、植物制御化学研究室の鈴木泰輝君(博士前期課程2年)、来馬道生君(博士後期課程1年)、瀬戸義哉准教授らの研究グループは、根寄生雑草の発芽を誘導できる人工ストリゴラクトンアナログ分子の合成に成功しました。これらの分子は、植物でも普遍的にみられるケイ皮酸を基本骨格に有しており、ストリゴラクトンに共通で見られるブテノライド骨格を連結した構造を有しています。合成したアナログ分子の中には、1 nM程度で発芽を誘導できる分子も含まれており、比較的低濃度で根寄生雑草の発芽を誘導しました。また、ケイ皮酸は側鎖の二重結合の存在により異性体を生じますが、シス型の異性体は、低濃度で通常の植物に投与すると、成長を促進する作用があることが知られていました。今回、シス型のケイ皮酸をもとに合成されたストリゴラクトンアナログは、シス型のケイ皮酸と同様に、植物成長促進作用を示すことが明らかになりました。すなわち、この分子は、根寄生雑草の種子を強制的に発芽し,枯死に至らせる自殺発芽誘導材として作用するとともに、宿主の生長を促進する二次的な作用をもった新しいタイプのストリゴラクトンアナログとしての利用が期待されます。

 

論文はこちら

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpls.2022.843362/full

 

植物制御化学研究室ホームページリンク

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