明治大学 農学部 農芸化学科 食品機能化学研究室(戸田安香特任講師、石丸喜朗准教授、中北智哉助教)は、東京大学、京都大学、北海道大学等と共同で、アミノ酸センサーと考えられていたうま味受容体が、霊長類の祖先ではイノシン酸やアデニル酸などのヌクレオチドを感度良く検出するセンサーとして機能していたことを見出しました。ネズミくらいの小ささで昆虫を主食としていた霊長類の祖先が、ヌクレオチドを豊富に含む昆虫をおいしく食べるのに役立っていたと考えられます。一方、体が大きくなった一部の霊長類のうま味受容体は、葉に豊富に含まれるグルタミン酸に強く応答するよう進化したことが分かりました。本来、葉は苦くておいしくないはずですが、私たちの祖先がうま味受容体をヌクレオチドセンサーからグルタミン酸センサーへと変化させたことで、新たなタンパク質供給源として、葉をおいしく利用できるようになったと考えられます。
(写真提供:栗原洋介)