石油資源の枯渇や二酸化炭素排出が懸念されている現代社会では、バイオによる新しい環境技術の創出が求められています。 明治大学農学部環境バイオテクノロジー研究室の小山内崇(准教授)、有坂聡美(元博士前期課程2年)、山形大学農学部及川彰(准教授)らの研究グループは、二酸化炭素を有用物質に変換できるラン藻において、生分解性ポリエステルであるポリヒドロキシ酪酸(PHB)の量を増加させる遺伝子を発見しました。
○今回発見した ntcAという遺伝子は、転写因子というタンパク質をコードし、モデルラン藻であるシネコシスティス( Synechocystis sp. PCC 6803)において、窒素のシグナル伝達を担うことが知られていた。
○シネコシスティスの細胞内で、NtcAのタンパク質量を増やしたNtcA過剰発現株を作製し、解析したところ、PHB量が野生株の2〜3倍に増加することが分かった。
○メタボローム解析によってNtcA過剰発現株を解析したところ、クエン酸回路の代謝産物量が変化するなど、糖代謝下流が変化することが分かった。
○NtcA過剰発現株では光合成や呼吸の活性が変化し、炭素の流れと電子伝達の活性が同時に変化することが明らかになった。
プレスリリースはこちら