応用生化学研究室の論文が、Microbiology誌に掲載されました

タイトル: Regulatory role of CsqR (YihW) in transcription of the genes for catabolism of the anionic sugar sulfoquinovose (SQ) in Escherichia coli K-12

(Tomohiro Shimada, Kaneyoshi Yamamoto, Masahiro Nakano, Hiroki Watanabe, David Schleheck, Akira Ishihama)

https://mic.microbiologyresearch.org/content/journal/micro/10.1099/mic.0.000740#tab2

 

Sulfoquinovose (SQ)分解経路を制御している新規転写因子を同定し、CsqR (regulator of the catabolism of SQ)と名付けました。

解説: アニオン性糖であるsulfoquinovose (SQ)は光合成生物の膜(含硫黄脂質)に含まれる成分であり、自然界で最も豊富に存在する有機硫黄化合物の一つです。そのため、硫黄源としてSQを分解して利用することが期待されており、2014年にコンスタンツ大学(ドイツ)のSchleheck博士らが生物で初めて、大腸菌においてSQ分解経路遺伝子群を同定しました。一方で私たちは、転写制御因子のゲノム上の結合領域を網羅的に解析するために独自に開発した手法、Genomic SELEX法を用いて、機能未知転写因子YihWがそのSQ分解経路遺伝子群を制御することを示唆する結果を得ておりました。そこで今回、Schleheck博士と共同研究を実施し、YihWが実際にSQに応答すること、また、YihWSQ分解経路遺伝子群に対してリプレッサーとして働くことを実証し、SQの異化代謝転写因子であることからCsqR (regulator of the catabolism of SQ)と名付けました。さらに、炭素源代謝の転写因子CRPSQ分解経路遺伝子群の制御に関与している事も分かりました。本研究は、自然界においてSQ分解経路がどのように利用されているかを理解するためにも役立ちます。

なお、本研究は法政大学 石浜名誉教授、コンスタンツ大学のSchleheck博士、法政大学 山本教授、京都大学 中野助教らとの共同研究です。

大腸菌におけるSulfoquinovose異化代謝遺伝子群(A)およびその異化代謝経路(B)とCsqRの転写制御(C)のモデル図。

 

応用生化学研究室ホームページ http://www.isc.meiji.ac.jp/~tomoshimada

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