研究テーマ
「生産者に役立つ栽培技術の開発」をテーマにしています。
すなわち、①栽培資材費およびエネルギーコストが低く、②自然環境への負荷が小さく、③就農者の労働衛生環境が安心で、④農業所得は大きくなる栽培技術の開発を目指しています。
資材コストを小さくして環境負荷も低減するには、安価で繰り返し使用ができる培地を用いればよいと考えられます。環境負荷やエネルギーコストが小さく就農者の労働衛生環境も守るには、太陽光利用型の高度環境制御型温室内で農薬使用量が少なくて済む養液栽培法を用いればよいと思われます。一般的に、養液栽培法ならば収穫量が増えますから所得向上をも目指せます。
ゼミでは、ミニトマトを用いた「安価で安心な養液栽培システム」をつくりあげようと奮闘中です。すでに、土壌の代わりに化石化したサンゴ砂を用いる養液栽培法である「サンゴ砂礫農法」を提案し、日本のそこかしこで展開しようとしています。これは、高品質でかつ多収量という二律背反を克服した優れた農法です。
また、植物が栄養不足(貧栄養)におちいりそうになった場合に、いちはやく検知して、施肥によらずに光刺激によって生育を回復させるといった「植物の生長改善法」の研究もおこなっています。試作してきた機器が実用化されれば、植物増産に寄与できるだけでなく、肥料過多による農地や地下水の汚染を予防することもできます。
研究・技術紹介 https://www.croip.jp/professor
・研究室メンバー:修士2年2名;修士1年0名;学部4年6名;学部3年6名
研究業績
主な論文
・植物生体電位を用いた植物の貧栄養診断法と光照射による植物の生長改善法の研究, 中林和重, 生態工学, 27(2), 51-55, 2015
・Effect of Differences in Soil Charge Characteristic on Nutrient Uptake by Mini Tomato Plants, K. Nakabayashi, Y. Ogura, H. Takesako, Eco-Engineering, 25(2), 41-47, 2013
・葉面電位の特定周波数を用いたトマトの栄養診断, 中林和重, 田中剛毅, 栗田真史, 植物工場学会誌, 12(2), 112-116 , 2000
・Diagnosis of nutritional disorders in plants based on the Fourier transformation spectrum of bioelectric potential on a leaf surface, K. Nakabayashi, K. Matsumoto, M. Nakayama, Bull Fac Agr, Meiji Univ (115), 1-6, 1998
・作物栄養特性からみた野菜のロックウール栽培, 中林和重, 日本土壌肥料学雑誌 62(3), 217-218, 1991
主な著書
・養液栽培の特性と栽培法, 中林和重, 閉鎖生態系・生態工学ハンドブック 242-251, 2015(分担 丸善)
・完全制御型植物工場における光環境とトマトの生育, 中林和重, 植物工場生産システムと流通技術の最前線, 381-401, 2013 (分担 NTS)
・中林和重, 肥料の事典, 2006 (分担 朝倉書店)